2024年10月1日火曜日

アイルランドの庭で

アイルランドから帰ってきました。

石積みのワークショップに参加するのが第一目的でその時期に行っていますが勿論それだけではなく、ガーデンや植生などを見て回るのも大事なことです。

毎回アイルランドの植物を見て思うのは花期が長く、大きいということです。


シュウメイギクも巨大

私がイギリスでガーデンデザインを学んでいた時もイギリスの花期は長かった。

夏の間中花が咲き乱れそれはそれは美しい。

イギリスもアイルランドもほぼ同じ緯度なので気候も似ています。(アイルランドのが若干厳しいか)

日本でいうところの春が向こうでは夏。

5月から9月いっぱいまで日本での春12度〜18度が続きます。

夏の間でも20度になればタンクトップという過ごしやすさ。

それは日本では暑さで花が終わってしまう様々な花が咲き続けるということなのです。

また日本では夏の間は花が休む種類だって咲き続けます。

ダリア、トリトマ、コレオプシス、ネペタ同時に咲いてます


日本ではダリアは春と秋に咲きますが向こうではずっと咲いています。(日本では夏の暑さと湿度に負けて絶えてしまうことも多々あります)

わずかな花期のルリタマアザミ(エキノプス)だって秋まで咲き続けます。

アジサイだってずっと綺麗な色を保っています。

元気に咲き続ける植物をあげればキリがありません。

その上この気温が続くので植物はぐんぐん成長を続けます。

天候のおかげで努力なくても花は咲き続けるのです。



ルリタマアザミとススキ(日本では不可能な植栽です)
背後にはヤツデとササ


春に浜名湖花博へ仕事で行きました。私はこういった場所や行われるイベントに興味がないので本当に何年ぶりだったでしょう。

そこで目にした春のボーダー花壇。

多くのお客様は感激していましたが、私には違和感しか感じませんでした。

多くの一年草やすぐ花が終わってしまう宿根草が沢山植えてあり、恐らく1週間単位で植え替えを行なっている花壇を見ても感動なんでできません。

その中で使い捨てられていく植物たち。

SDGsは完全に無視ですね。

これをデザインし維持している人たちが植物好きだと言えるのだろうか?と思ってしまいました。

アジサイアナベルとラベンダー


私はイギリスで庭の勉強をしました。

確かに最初は色とりどりの宿根草を沢山庭に植えました。

でも日本の気候ではイギリスみたいにはなりません。

どうすれば良いのか?

木を植え、日陰を作り、少しでも気温を下げることができればその下で育つ植物の種類が増えていきます。

そして日陰ができると家の中も気温が下がります。

それでもイギリス、アイルランドみたいには花が咲き乱れる姿は作れませんが季節ごとに庭のどこかで花が順番に咲いていく景色は作ることが可能になりました。

そもそも海外で咲き乱れる宿根草の多くは日本原産の植物です。

(ただ気候の違いで育ち方に差が出るので、日本で見るのと海外で見るのとでは別人くらいの差があります)

フジバカマもこんなサイズ!
秋の風情は感じませんよね(笑)


日本で庭を作るということは木を植え日陰を作ることがとても大事なのです。

今世間では雑木の庭なるものが流行っています。

私の庭もそう見えると思います。

でも私は「雑木の庭」を目指しているのではありません。

コナラ、モミジ、シデetc.確かにこのような樹木は大好きです。

でもそれだけではなくその下に育つ地被植物が私の中ではとても大事な位置を占めています。

庭の方角や周りの環境を考慮して樹木の配置を決め、その中でどうやってより多くの宿根草が育ち季節ごとにわずかな花の季節をたのしみ四季を感じる事ができるか。

花でなくとも美しい


日本には日本の風土にあった庭があると思います。

私がアイルランドで庭を作っていたら今のスタイルでは庭を作っていないと思います。

これが私の屋号「GENIUS LOCI」の精神









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