2024年2月21日水曜日

苔の胞子

 昨日伺ったS様邸。


ここは作庭させていただいて2年目。

(施工例に掲載できるのは来年以降でしょうか)

年末に手入れに伺い植物の様子を確認すると、まだまだ地力が弱いと感じました。

植物自体に力が付いてくると土壌に関しては何もしなくても良くなるのですがS様邸ではまだその段階ではないので堆肥を追加した方が良いと提案させて頂きました。

快く受け入れてくださったS様ご夫婦。

ここの庭はリフォームで家を建て替えられた際に庭も整備されたのですが....。

住宅メーカー絡みの庭は良い庭に巡り合ったことがありません。

(良い庭であれば私にリフォームの依頼が来ないので素晴らしいところもあるのかもしれません)

その時の苦い経験がある為かとても信頼してくださりその期待に応えるべく私もより精進するという良い循環があるように思っています。


年末は時間が取れなかったので2月に入り堆肥入れに伺いました。


いつものように前置きが長くなりましたが、植物の様子を確認しながら堆肥を株下に撒いて行きます。

剪定は上を見ていることが多いのですが堆肥撒きはずっと地面。

これがまた楽しくて。


基本地面を見ていることが多い私なのですが、上を向いて歩こうじゃないですが上を向くことを意識しているこの頃。

でも、やはり地べたに這いつくばって植物を観察するのは至福です。


蕗のとうが沢山!

こんなに可愛いものを食べることなんて不可能だなあと思います。

あちこちの角度から写真撮りました。

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そして、本日のメイン!

苔の胞子です。

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まだ胞子が開く前ですがものすごくチャーミング。


今でも覚えていますが、子供の頃小学校は土曜日も半日授業がありました。

そんな春の土曜日の午後に庭で見つけた苔の胞子たち。

色とりどりで(緑、黄色、橙)ものすごく美しくて感動しました。

恐らく私がこの仕事に就くことになるきっかけの瞬間でした。

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およそ50年近く昔のことですが今でも覚えています。

あの時も今でも同じことに感動できるのって幸せですよね。









2024年1月3日水曜日

新年おめでとうございます 2024 

 新しい年が訪れました。

全ての人が幸せでありますように。

この2行を書き始めたのが元旦でしたが、今日までの間に能登半島地震、羽田空港事故と立て続けに災害が起こってしまいました....。



一瞬の出来事で全てが変わってしまう。

私も15年ほど前に事務所兼自宅が豪雨で全壊し少しは被災の大変さは理解できると思います。


幸運にも被災後出会った現在の我が家


今なお余震(余震とは思えない規模ですが)の続く中、不安と寒さを感じる人々に自分に何ができるかを考えます。

そんな中、DSWAJの会員から協会として災害ボランティアに参加したいですと連絡が入りました。

しかも、今すぐにでも!との勢いでした。

一役員として現状では石川県でもまだ災害ボランティアの募集はしていないのでもう少し待ってみてくださいと連絡しましたがどうも気持ちが収まらないようです。

何かをしたい善意の気持ちはよくわかりますがそれは自分の気持ちであり、相手の状況を考えられないのか...と思ってしまいました。

スタッドレスも必要のない地域に住み、土地勘もない私たちに何ができるのでしょうか...



現状で行っても迷惑にはなってもプラスはないように思います。

今できることは状況を把握して出来ることが出てきたらすぐ行動することしかないのではないでしょうか?


昨年のアイルランドで友人ルイーズと人生に何を求めるかという話をしました。


私は自分が楽しいと思うことをすると言いましたが、ルイーズの答えは「peace」

「平和」と答えました。

私より2歳年上の彼女は北アイルランド出身です。

私が子供のころはアイルランドと言えば北アイルランド紛争。

連日テレビで悲惨な状況が繰り返し流れていました。

そんな中で育った彼女の言葉。


恒例の元日の宴


「PEACE」

心に刻んで過ごします。











2023年11月18日土曜日

剪定は木を切るのではない

 ブログでも書いていると思いますが毎年10月くらいから年末剪定が入っています。


毎年伺う庭。

久しぶりの庭。

初めての庭。

こちらはまだHPでは紹介していませんが窓をやんわり隠しています


HPにも書いてあると思うのですが庭は管理がすごく大事です。

どこを切るか、残すか、これは今後どのような庭にしていきたいかを考えての作業です。

単純に邪魔なところを切っているわけではありません。

(もちろんそのような業者もいるとは思いますが)

少なくとも来年はここを切ってとか色々考えています。


出来るだけお家の方にも植物にも負担が少なくなるよう考えています。

そして美しく、気持ちよく過ごして欲しい。

まずはどこか気になるところがあるか伺います。

気になる箇所があればその為にどのような剪定が一番良いか考えて行っています。


管理の大切さは常々書いていますが、今回思ったこと。

やはり家の人が日々どれだけ庭に対して愛着、愛情を持っていてくださるかが一番大事ですね。

これは単に余分な草が生えていない、綺麗にしているという事では無くなんとも説明しにくいのですが...。

手がかけられなくても見てあげているというのが大事というか。

とにかく「観察する」

毎日見ていれば数年すれば何となく様子がわかってきます。

そして私はこの庭は「観察」されているのかどうかが植物を見ているとわかります。

HP施工例の岡崎市K様庭 18年経ちました



余談ですがこれは乗馬をしていても感じることです。

今年で6年目に投入した乗馬です。

相変わらず四苦八苦なのですが、この頃やっと馬の様子がわかり始めたような気がします。

馬の機嫌がわかって来たような...(だからといって上手く乗れる訳ではないのですけど)

以前は馬が嬉しいのか楽しいのかなんてわかりませんでしたが今は何となくわかります。

これはひとえに「観察」の成果だと思っています。


要するにその事に関心があれば「観察」しますが興味がなければ「無関心」

この無関心は植物にとっても良い結果にならないような気がします。

巷では植物がお互いに根っこで意思を伝達しているとか、触られたり、危険を察知すると植物の中で意識変化があったり、それを防御する物質を出すとかの研究が盛んになって来ています。

これは私たちが感じてきた事を科学的に証明しているという事です。

とても良い事だと思います。

相手(植物)は動きませんし、言葉も喋りませんが確実に生きています。

「無関心」は植物にも伝わります。


それが嬉しい?

誰だって無視は寂しいですよね。

同じくK様庭





管理をご依頼くださる方たちは庭を大切に思っていて下さると感じています。

いくら管理が大事です!と言ってもお家の方々の日々の関わりが一番大切なこと。


そしてその基礎があってこその管理だと感じる今年の年末剪定です。








2023年10月15日日曜日

帰国、そして日常へ

 先月26日に帰国しました。

私は時差ボケがないので次の日から仕事再開でした。

やはり2週間も仕事休んでいると仕事が楽しみでした。

ここに住みたい!


今回のアイルランドは一言で言えば「今までで一番楽しかった」

今までは素晴らしい景色に遭遇する感動とかが多かったのですが、今回はアイルランドの友人と過ごした時間がよかったです。

inis oirr で石積みの後、本土に戻ってからも会いました(内二人には宿泊までさせてもらいました)

同業者のアラン



4年振りでも昨日のように話ができるというより、近い考え方をする人たちと話すことの有意義さ。

当然ですがそこには国籍は関係ありません。

生きる視点は同じようでもイギリスからの独立から100年経っていない国に住む人たちの自国に対する姿勢、考え方には考えさせられました。

まだ上手く自分の中で整理できていませんが仕事もそうですが生きることについて考えさせられる今回のアイルランドでした。



素晴らしいルイーズ



今後の私にプラスになったことは確実です。

そして4年振りなのに今までで一番英語がスムーズに話せたし理解できた気がしたのは不思議でした。

初めてあった時は聞き取りにくかったアクセントにもすっかり慣れたパディ



小さなアイルランドのまた更に小さな島で行われるstone festival.

みんなで石を積むのも楽しいのですが、やはりここで再開し一緒に過ごすことが何より素晴らしく楽しい。

何人の人と再会を喜んだでしょうか?

島に信号は一つもなく、パブは3件。お昼も夜もみんな一緒です。



必ず来年も行きます!

でもこの円安、そして物価高が日常のこととなってしまうと恐ろしいです...。

EU内で一番物価が高いらしいアイルランド、でお金を使うのにビクビクしっぱなしでした




2023年9月10日日曜日

アイルランドへ行ってきます

 やっとです。

コロナ以前に3年続けて行っていたアイルランドの小さな島inis oirrで行われるFile ne gCloch (festival of stone)に行ってきます


2019年の様子


4年ぶりです。

最後に行った時がちょうどラグビーワールドカップが開催されていて、日本がアイルランドに歴史的な勝利をおさめた日にアイルランドにいた私。

数回嫌み?を言われたのを覚えています😆


ものすごく楽しみです。

アイルランドはもちろん他の国々から集まっての石積みは楽しい。

飛行機チケットはコロナで使うことのなかったマイルで行くことができます。(しかもビジネス!!!)

チケットは2月に取りましたが減便のため日程が中々合わず2週間ほど行くことになりました。


仕事のこと考えると少し心配ですが私がいなくてもできることを段取りしています。


4年ぶりで英語は喋られるのか?

パディは島でのB&Bを取ってくれました。感謝

半袖Tシャツを着るカールと極寒コートを着る私...


しかし、円安と物価高で全てが高いですね....。

チケット代はかかってないとはいえビクビクしています。


でも久々のアイルランド、なんだかんだで日本にいたら休みはありません。

十分に心の洗濯をして更なる仕事へのステップアップになるように楽しんできます


大自然





2023年8月9日水曜日

GENIUS LOCI とは

何故かものすごく忙しくブログの更新ができませんでした。

(大抵ブログでそう書いていますが、近年ないくらい忙しかったです)

仕事もそうですが前回書いたDRY STONE WALLING ASSOCIATION OF JAPAN(DSWAJ)

の役員の仕事が増えたのも一因のような気がします...

できたばかりの協会は全て一からなのでやる事、決める事が多いですね。

自庭 の一人生え カラスウリとヤブミョウガ


さて「GENIUS LOCI」についてです

この一ヶ月くらい前に思いついてずっと書きたかった。


何故この屋号にしたかはHPのコンセプトを読んで頂けるとわかるのですが、これを日本語に訳したらなんと言えば良いのか上手く説明できないことはや30年。

屋号の意味はなんですか?と聞かれた時に何て答えれば良いのか本当に悩んでいました。

それが先日何を考えていた時だったか覚えていないのですがふとわかったのです。


それは「風土」


お客様の一人生え タカサゴユリ


もちろん直訳ではありません。

GENIUS LOCI はラテン語です

それを英語に訳すと Spirit of the place

日本語に直訳すれば 土地の精霊


でも意味はなんですか?との問いに「土地の精霊」と答えたらこの人、大丈夫?と思われそうじゃないですか?

なので本当に考えていました。

わかるのに30年かかりました。

なんでこんな簡単な言葉が思いつかなったんだろうと思います。

でも、これを自分の身体を通して感じるのにこれだけの時間が必要だったのだと思いました。

(アホだなあ自分ではなく!ポジティブシンキング!)

本当に最初の授業で「GENIUS LOCI」という言葉を聞いた時に自分がいつか仕事を始めたらこの言葉を屋号にしようと決めたのですが、その時に先生がどのような説明をしてくれたのかすっかり忘れました。

けれど感動したのですよね。

そして実際にこの屋号で仕事をして25年。

やっと「風土」という言葉に辿り着きました。


スティーブ・ジョブズが言っていた点と点が繋がって線になったような気持ちです。

飽き性だと言われ続けた子供時代。

好きなことが見つかれば飽きないんですね。

独立して25年、いまだに飽きるどころか毎日新鮮な発見や楽しさを実感しています。

有難いです。ずべての生き物に感謝!!













2023年6月2日金曜日

石積み講習会

5月27、28日に石積み講習会が欧州建材さんにて行われました。
 2023年3月にDry Stone Walling Association of Japan という協会が正式に発足しました。 




 そもそもは2008年に現協会長と私がイギリスの試験を受けたことがきっかけでした。
 イギリスに古い石積みを修復し、次世代に繋ぐ活動をしている団体があることはイギリス留学時から知ってはいました。



 何かの時にその話になり、試験は実際の修復を兼ねた場所で開催していることが判明しました。 
 自分が積んだ石積みがイギリスに残るって素敵じゃない?という非常に安直な考えで渡英し受験しました。 
(とは言っても日本人には試験に受からないから受けてはダメだとか色々やりとりはありました)
とは言っても5日間くらい朝8時半から4時まで羊や牛が見守る中で石を崩しては積み、崩しては積み練習を繰り返しました。
 当日の試験は7時間かけて石を崩して積み直すという内容です。(4〜5m2 )
空積みという方法でセメントなどは使いませんが、だからこそ崩れにくい施工かどうか試験があります。
本国イギリスではこの資格有無、またそのレベルを持っているかで仕事に関わってきます。



 結構過酷で受かった時の喜び! 

満面の笑み 手にしているのは結果のレポートです



 という経緯から始まったイギリスの石積み講習ですが、年々希望者が増え有資格者も増えてきました。 

 どうせなら協会を作り、イギリスの石だけではなく日本にも優れた石文化があることを日本のみならず世界にも発信して行こうということになりました。 


 このような経緯から発足した協会で私も一役員として動くことになったのです。 (任期は2年です)


 協会発足初のビギナー講習会が開催され、その手伝いで参加しました(業者専門で一般の人は対象ではありません) 



同じく役員さんが石の割り方指導中


 少しは石積みしたことある人、全くの初心者もみえました。 苦戦しながらも楽しみながらの2日間に見受けられました。 


石は初心者でも扱いやすいコッツウォールドを使います



 あ〜、昔は私もこうだったんだよねとか(←偉そうに) 



 石積みでも植栽でもとにかく関わり続けること。
 最初は何が何だかわからなくても関わり続ける。

満面の笑み セメント使ってなくても乗れます



 そうしていると少しづつ見えてくることがあります。 



でも正解は見つからない。
 いえ正解はないのかも知れませんね。


今年は我が家のこの普通〜なアジサイがものすごく美しく感じます




 正解がないから関わり続けることに飽きないのかも知れないなを思います。